2018-04-11

チベット自治州 シャングリラ

中国に来たらチベット文化圏に必ず行きたかった。

中国とチベットの歴史は複雑で、独立国家であると主張するチベットに対して、中国共産党の侵略があり、チベット全土を制圧した、それが1951年のこと。
その時結ばれた協定ではチベット文化を守り、民主改革は行わないと謳われていたが、現実には宗教や文化に対してまで弾圧され、チベットの土地であったところに大量の漢民族の入植があったりで、1959年にチベット蜂起が起きたがすぐに中国側に制圧される。2万人くらいが亡くなっている。その最中当時の指導者であるダライ・ラマ14世は逃亡を余儀なくされ、インドに亡命。そこで作られたのがチベット亡命政府である。現在はインドのダラムサラにある。

インドのダラムサラに行った時の記事も、読み返すともう少しわかりやすいかもしれない。
ダラムサラ チベット亡命政府

現在の中国では一定の自治権を与えチベット自治区としている場所があり、そこは以前はチベット政府の本拠地だったラサがある。自治権を与えているとあるが、実際はどうなんだろうと思うことばかり起きており、中国側は保護しているというが、チベット側は侵略弾圧されているという、双方の主張は噛み合わない。
外国人がそこに行くには、ツアーを通して許可を得て、ツアーでの行動しか許されていない。今回は滞在できる日数が少ないので自治区に行くのは諦めた。

他にチベット文化を体感できるところとして、中国にはいくつかのチベット自治州があり、それが麗江(Lijiang)から近い、同じく雲南省にあるデチェン・チベット族自治州のシャングリラと呼ばれる場所である。ここは外国人も特に許可を得なくても行くことができる。

一番行きたかったのは四川省にあるラルンガルゴンパという場所だったが、そちらは今は外国人の出入りが禁止されている。こっそり入ることもできるらしかったが、それなりにリスクはあったことと、迷っているときに四川省で大きな土砂崩れがあり、それが決定打となり行くのはやめた。
2018年には観光客向けに再オープンするらしいが、観光客に向けた施設になるのだと思う。それを思うと、今回見てきたシャングリラは、観光客向けになった後の姿だったのかもしれないと思う。

麗江のバスターミナルから香格里拉(シャングリラ)までのバスは1時間に1本か2本出ているから、事前にチケットを買わずに適当な時間に行った。
泊まっていたママナシゲストハウスからバスターミナルまで徒歩5分、また戻ってくる予定だったから大きな荷物は数日置かせてもらうことにした。

着いてから次のバスが9:50だったのでそれを購入。58元(約928円 ※1元=16円)。英語は通じなかったが、シャングリラと言えばすぐにわかってもらえた。荷物チェックの後、待合室で待つ。電光掲示板で行き先と乗り場が表示されるから、特に困らなかった。

途中の景色が本当にきれい。

1回の休憩を挟み、4時間くらいでシャングリラに到着。
バスターミナルは町の中心からは離れていて、バスで中心まで行けるはずなんだけど、バスが全然こないから30分くらい歩いて中心まで行った。

シャングリラは元は中甸(ちゅうでん)と呼ばれる場所だったが、2014年にシャングリラという名前に改名された。理由はイギリス人が書いた小説に出てくる理想郷(シャングリラ)のモデルになった場所だと思われたから、確証はないみたいだけど。名前を変えたら急に観光客が増えたそうな、名前って大事。でももしかしたら中甸という名前を大事に思っていた人もいたかもしれない。

中心部は独克宗古城と呼ばれ、大きなマニ車がすぐに見える。

亀山公園と書いてあり、上まで行けるようなので行ってみる。
チベットの祈祷旗であるタルチョがいたるところにかかっていた。

上には寺院がありお祈りしている人たちが中にいた。

タルチョが美しい

大きなマニ車は本当に大きかった。
マニ車はチベット仏教では1度回転させると、1度御経を唱えたことと同じになるというもの。

みんな知らない人同士だけど回しているので、一緒に回してみたが、動き始めはかなりの人が集まらないと重たすぎて無理だった。どうにか大人が集まって回せたけど。

上から見た町並み。この辺りは2014年に火事があってほとんど燃えたそうだが、2016年にほとんどが修復完了したということだった。
シャングリラはチベット最大の民家群と言われていた場所だから、火事でほとんど燃えたのは本当に残念だ。今も再現はされている。

古城の中をうろうろしてみる。

こういう感じで木製の建物が並び、中は大体がお土産屋か飲食店。結構おしゃれなカフェとかもあって、ここもやはり観光向けであるとは思ったけど、建物がかわいくていいなと思った。

街中にマニ車もあったり。

まさかの猫カフェ。

夜は定番のライトアップ。

あまりにもキラキラ

人が集まってるから何かと思ったら、マイケルジャクソンが踊っていた。

色々見て回って思ったのは、中国人観光客の多さ。
そしてチベット仏教の寺院やマニ車など、普通にあるということ。お土産にチベット仏教に関するものが売っていたり。
一時期、中国の文化大革命で、寺院の破壊や信仰の禁止に近いもの、チベット語の禁止など、そういう政策を取っていた時もあったが、その後文化そのものを認めるということは、少なくとも表向きにはされているように思った。
中国人が普通にそのチベット文化に触れられ、マニ車を回したり、タルチョがフォトジェニックで自撮りしたり、そういう風にそこをわざわざ見にくるのはありなことなんだなって思った。それがあるからこそ、ここシャングリラは観光も一つの収益源になっているのもあると思うけど。

その反面、やはりチベットの国旗とされるものや、ダライ・ラマ14世の写真はどこにも見当たらなかった。掲げることが禁止されているからだ。国として認めるわけにいかないし、中国の一部であるから指導者はダライ・ラマではないからであろう。

しかし寺院での祈祷もしてたし、チベット僧もそこらへんに歩いている。信仰自体は禁止されていないし、ひっそりとではなく、ごく当たり前に僧がいる感じも不思議に思った。
でも今でも中国政府に反発して焼身自殺をする僧がいる。大規模なデモが起こして投獄される人もいる。やっぱり精神面での弾圧はあるのであろうとは思うし、起きた事件を見るとチベット差別する人もいるのだろうと思う。一方で暮らしていかなくてはいけないということで、うまく妥協して生きる人もいるだろうし。

少なくとも独克宗古城にきたところで、チベットとは一体どういうところなのか、あまりよく分からないというのが正直なところであった。
それと同時にそれってつまり文化がなくなっていっているということなのかもしれないと思う。


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