2014-05-15

なんとも複雑なエルサレム

エルサレム(Jerusalem)に到着して、とりあえず安宿を探し、一息。
物価が高めのため、ほぼ自炊することになり食材などを買いに出かけた。町の雰囲気はアンマンよりは人が多いし、聖地巡礼できている人も多いからか、ざわついていた。

旧市街の中に3つの宗教の聖地があるため、中の方がお土産屋やガイドや観光客でさらに一杯という感じだった。旧市街の町並みは素敵。



さて、このエルサレムという町、歴史的にはというか現在もとっても複雑な場所である。
その前に簡単にイスラエルの歴史を考えてみる。
イスラエルという国はユダヤ人が第二次世界大戦後に自分たちの国をつくろうと移住して来て建国した。ユダヤ教の聖書である旧約聖書にこの地をユダヤ人に与えると書いてあったからだ。
しかしその地はパレスチナと呼ばれアラブ人たちがすでに住んでいた。もっと大昔にはユダヤ人が住んでいたが、1度国が滅びてから世界各国に散り散りになっていたのだ。
国連が間にはいり、ユダヤ人とアラブ人の住む地域を分ける事で解決したように見えたが、元々住んでいたアラブ人がイスラエルができたことに怒り、攻め込み、中東戦争が始まった。
結局4回も戦争して、今度はアラブ人が住む地域と国連が決めていた場所をユダヤ人が占領するところまできて、それに対抗してさらに戦いは続く。最終的にはオスロ合意で「ガザ地区」と「ヨルダン川の西岸」をパレスチナ暫定自治として開始されたが、まぁまたそれに反対する攻撃と、それに報復する攻撃と、今でも永遠に繰り返されている。

超簡単にいうとこんな感じ。
そしてこのエルサレムにはユダヤ人が多く信仰しているユダヤ教の聖地があり、アラブ人の多くが信仰しているイスラム教の聖地がある。しかも隣り合っている。
エルサレムはアラブ人が住んでいた東エルサレムと、ユダヤ人が住んでいた西エルサレムに分割されると国連が決めていて、中東戦争のときに東側はヨルダンが占領していたが、それをイスラエルが奪い、今では東西ともにイスラエルが所有権を主張している。
しかし元々住んでいたパレスチナも所有権を主張しているのでまた問題が起きる。しかも聖地は東エルサレムにあるのだ。
イスラエルはエルサレムを首都だと主張しているが、国際的にはこれは認められていなく、かなり宙ぶらりんな感じ。既成事実をつくるためにユダヤ人をどんどん東エルサレムに入植させて、アラブ人が入ってこないように壁を建てたり、勝手な行動が多く、国際的にはかなり問題になっている話だ。

エルサレムがイスラエルの管理下にあることで、イスラム教を信仰するアラブ人は巡礼できない人が多いし(入れないので)、イスラエルと国交のない国のイスラム教徒も同様である。
なのでイスラエル・パレスチナ問題があるなかで、エルサレムというのはかなりキーになっている場所であって、キリスト教の聖地もあるもんだから、すっかり観光地化されているが、正直また何かが起きる可能性はある場所なのだと思う。

私はこの3つの宗教のどれも信仰していないから、ありがたみはないのだけど、いがみあっている民族同士が隣り合う場所(といってもお互いに見えるような位置にはない)で祈っているなんて、不思議すぎる。なんのための神がいて、何に祈るんだろう。

そんな聖地のある旧市街。各国の人々がいるのはもちろんのこと、イスラエル軍もうろうろしている。
男女ともに徴兵制度があり、どこで見かけてもみな若いなーという印象。

そして国連の車もうろうろ。

なにげなしに過ごしていればただの石畳の趣きのある町だ。どんな場所でも多少その歴史を知ってからいくというのは、私にとってはとても重要なことだと思った。

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