インドの3大うざい町の1つバラナシ(Varanasi)。ヒンズー教の聖地、そして聖なる川ガンジス川の流れる町。ここもまた日本人観光客が騙されることで有名な場所でもある。
デリーからインドで初めての夜行列車に乗り出発。3Aクラスというエアコン付き2等寝台列車に乗った。SLクラスというエアコンなし寝台もあるのだが、インド旅をしてきた人に話を聞く限り、女性は夜行なら3Aにしておいたほうがいいというのを聞いたからだ。
ホームについて驚いたのは一般車両(座席指定なし)に乗ろうとして溢れる人々。写真に写ってないけど、車両の中はもう隙間がなくみえた。これは絶対乗れないや。
一方3A寝台はシーツ・枕などの寝具付き。3段ベッドになるが一番上(Upperを選択)にしておけば、盗難も下の段よりは心配ないし、朝になってベッドの1段目が座席に変わる時、まだごろごろしてられる。予約時に外国人枠で購入したからか、6つのベッドのうち5人が外国人観光客であった。
電車の中はチャイやスープ、飲み物やお弁当を売る人が行き交うが、どこからか勝手に乗って来た人たちではなくスタッフのようだった。駅員がきて「Suggestion」という紙を見せてきてサインを求められる。内容は貴重品は身につけておくこと、知らない人から飲み物を買わないこと、などそういう注意書き。ここでなぜか20ルピー(約30円 ※1インドルピー=1.5円)払う人と、払わない人がいた。どういう区別なのかは謎。
朝2時間遅れくらいでバラナシに到着。早朝着の予定だったから様子がわからない分、逆によかったかもしれない。駅前から少し離れたところで走行中のオートリキシャをつかまえて町の入り口であるゴードウリヤー交差点へ100ルピー(約150円)で行く。
事前に友達から、バラナシ道が狭いし牛のフンだらけだから、キャリーバッグ持って行かない方がいいと言われていたので、デリーの宿に全ておいてリュックと手提げだけで来た。そしてそれは正解だった。
バラナシは町の大通りはデリーと変わらないものの、ガンジス川沿いに並ぶ旅行者が泊まるエリアは細い道に牛が常にいる。犬もいる。人も多いしバイクも通り抜ける。
ヒンズー教では牛は神聖な生き物だから、道にいても叩いたりしてどかしてはいけないのだ、実際やってるインド人いるけど。でも牛がいるから渋滞が起きるということもある。
バラナシはヒンズー教の聖地。
ヒンズー教では人々は生まれ変わるたびに都度苦しみに耐えなくてはならないという教えがあるが、このバラナシのガンジス川の近くで死んだ者は、その輪廻から解脱できると考えられているそうだ(Wiki調べ)。だから沢山の人が、死ぬ間際にここの近くにきて、亡くなれば川沿いの火葬場で燃やされる。
この狭い道を遺体を乗せた担架が何度も通るのを見た。それは日本のお葬式の静かな雰囲気とは違い、きらびやかな装飾と、時にお金や花びらをばらまき、何かを叫びながら通り過ぎというか走り抜けて行く。ここにいるとそれが日常になってしまうのだった。
お金がない人や、子ども、そして出家したサドゥと呼ばれる人たちは火葬されずにガンジス川に直接沈められる。ガンジス川をずっと眺めていると、ボートから亡くなったサドゥが落とされているのも見た。花びらがまた撒かれて、そこだけ違う世界のようだった。ガンジス川で起きる事はなんでも自分とは遠い世界のことのようだった。
火葬場も見に行った。この辺が特に日本人が騙される場所なので注意。火葬場はこっちと間違った方向を教えられて、関係ないところにきたうえで、薪代を請求されたりするとか。一番いいのは、誰にもついていかずに自分でたどり着くことなんだろうな。
私はたまたまその日会った、バラナシに長く滞在している同じ宿の人に連れて行ってもらった。2体しか燃やされていなかったからかもしれないが、臭いもないし、煙はすごかったけど、遺族が燃えている遺体を無表情で見ているのを見た。女性が全然いなかった。
誰だか分からない人が、薪の間に挟まれてただ単に燃えていた。そう思った。
近くで見たから炎が熱かった。何て言うか「うわっ」という驚きでも「気持ち悪い」という不快感でもなかった。私も死んだら火葬だろうから、こうやって燃えていくんだなって思うと、あんまり怖い事ないなと自然に思った。不思議な体験である。
火葬場の写真は撮ってはいけない。ここは近くのチャイ屋。
そしてガンジス川を見に宿の近くのガート(川岸の階段のこと)へ。別に私はヒンズー教でもなんでもないし、この川汚いし、何に惹かれるのかわからないが、ずっと見ていられるし、なぜか落ち着いた。
色々なものも流れ着いている。
メインガートと呼ばれるダシャーシュワメードガードにも行った。ここは日本語ぺらぺらの客引きがすごく多い。あまりにしゃべるので、彼らがどんな言葉で返答してくるのかが気になって、人も多いところだし、自分の情報は絶対話さずに付き合って話していたら面白かった。店とかボートは全部断ったけど。「今でしょ!」って言われた時には驚いた、それはもう流行ってないということを教えてあげた。
天気がいい日は夕焼けが綺麗だった。川と反対方向に沈むが、宿の屋上から眺めていた。それぞれの家の屋根から凧があがるのが見えた。
私はバラナシにいるとなぜだか落ち着いた。うるさい客引きも決まったエリアにしかいなかったし、うるさいけど極悪ではなかったし、川は汚いけどずっと見ていられたし、一般の人はとても優しかった。
遺体が何度も運ばれて燃やされて流されていくという自分の中では非日常が、日常的になっている場所にいて、不思議の国に少し入らせてもらえたっていうか、私がなじむことは絶対ないんだろうけど、ここにいる間だけは何かが許されているような気持ち。
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