2014-11-27

イスラエル・パレスチナまとめと本の紹介を少し

泊まったところまとめ

■宿泊
・エルサレム(Jerusalem),イスラエル(Israel)
Palm Hostel
Haneviim Street No. 6, Jerusalem, 97203
値段:1泊60シュケル(約1,620円 ※1シュケル=27円)
基本情報:男女混合12人ドミ、南京虫なし(だけどマットレス古くてベッドギシギシ)シャワートイレ付き(お湯出る)、スタッフ英語可、フリーコーヒーあり、キッチンあり、Wi-fiあり(速度普通)
行き方:旧市街に入らずに、大通り沿いにある大きめのバスターミナル(ナブルスロードターミナル)の前。大きな看板でPalm Hostelとあるのでわかりやすい
その他:ターミナルの前なのでパレスチナに行くには移動が楽。旧市街の中にも安宿はあるが、値段はほぼ一緒で迷路のようなところを通らなくてはいけないので、ちょっと面倒かも。イスラエルの物価の高さがあるから仕方がないが、このクオリティのドミで1,500円超えているのは本当にありえないと思う

・ベツレヘム(Bethlehem),パレスチナ(Palestine)
Rami Al-Dabank
Madbasa square(street)
値段:1泊1部屋100シュケル(約2,700円)
基本情報:ツイン、シャワートイレ付き(お湯出る)、スタッフ英語可、Wi-fiあり(部屋で繋がる、速い、動画アップできた)、キッチンあり
行き方:ヘブロンロード(大通り)から聖誕教会に繋がる商店などが並ぶ道をまっすぐ進み、ワイ字路手前の右手側に階段付きの長い下り坂があり、少しだけ坂を降りた左手にある。ビルの上にAL DABANKって書いてある
その他:この宿は本当におすすめ。宿というか、空き部屋を貸してくれるという感じで、清潔だし、広いし、本当に安らいだ。多分値段は要交渉。パレスチナでWi-fiが使えると思っていなかった。宿の人も色々話をしてくれるし、いい滞在ができた。

■交通
交通についてのまとめ
・アンマン(Anman)
↓ セルビス(シェアタクシー) 約1時間 4人乗り1人6ディナール(約840円 ※1ディナール=140円)
・キングフセインブリッジ(ヨルダン国境)
↓ バス 約45分(状況によりけり) 5+荷物1つにつき1.5ディナール(約910円)
・イスラエル国境
↓ シェアワゴン 約1時間 42+荷物1つにつき5シュケル(約1,269円 ※1シュケル=27円)
・エルサレム(Jerusalem)
↓ バス 約40分 7.3シュケル(約197円)
・ベツレヘム(Bethlehem),パレスチナ(Palestine)
↓ バス 約40分 7.3シュケル(約197円)
・エルサレム(Jerusalem)
↓ シェアワゴン 約1時間 42+荷物1つにつき5シュケル(約1,269円)
・イスラエル国境
↓ バス 約1時間半(状況によりけり) 40シュケル(約1,080円)
・キングフセインブリッジ(ヨルダン国境)
↓ セルビス 約1時間 4人乗り1人7ディナール(約980円)
・アンマン(コーダホテル前まで)

ヨルダンーイスラエル間の出入国に関しては以下詳細を参照
ヨルダン→イスラエル
イスラエル→ヨルダン

■食べ物
美味しかった食べ物まとめ
といっても物価が高すぎてほぼ自炊。見た感じケバブや焼き鳥のようなものなど、肉系の料理が多い。イスラエルと言えばシュニッツェルというチキンカツが有名なのだが、高くて食べられなかった。

・レバーのサンドイッチ(イスラエル)
生に近いレバーを胡椒とライムを辛すぎて死ぬと思う位かけて食べる。レバーそこまで得意じゃないが、もうその辛さで消えていたし、無性に美味しいと思った。しかしそのサンドウィッチで15シュケル(約405円)。ケバブサンドなどもだいたいそのくらいの値段だった。

・名前がわからないお菓子
中にクルミが入っていて、どら焼き的な生地でふわっとしていて美味しかった。1シュケル(約27円)

あとはファラフェルというひよこ豆の1口サイズのコロッケも有名。露店のパン屋でゆで卵とファラフェルつけたサンドイッチで7シュケル(約189円)くらいだった。
イスラエルよりパレスチナのほうが若干物価が安いし、安いものを露店で売ってる。パンは両国とも安い。最大でも10枚入りで5シュケル(約135円)だった。

■イスラエルーパレスチナ問題に関する書籍
面白かったことはもうブログに全部書いたと思うから、関連書籍の紹介。
日本に帰ってから読んだものばかり。イスラエル・パレスチナ問題を色々な側面から知るにはおすすめの本。

地図にない国からのシュート-サッカー・パレスチナ代表の闘い-
今 拓海
岩波書店
売り上げランキング: 803,235
国として認められていないから1998年まではサッカー連盟に加入することもできなかった。代表チームはあるが、全員が集まって練習するのが難しい、国外での試合にもフルメンバーが出国できるかどうかもわからない、そんな中サッカーを続ける人たち。国の状況もよく説明されているし、それでもどうにか世界にでてパレスチナを知ってもらいたいという人々の気持ちも書かれている。
2015年1月のアジアカップには初めて出場する。これは見なくては。


沈黙を破る―元イスラエル軍将兵が語る“占領”
土井 敏邦
岩波書店
売り上げランキング: 513,028
元イスラエル兵がパレスチナ自治区での任務について語る。感覚がおかしくなっていき、殺すのがゲームのような気がしてしまう、暇すぎてゲームをしてしまう、そういう実体験など。いかに戦地が人を狂わせることがあるのかということ。自らの加害体験を世間に伝えるために「沈黙を破る」というグループをつくり活動している青年たちへのインタビュー集。


現地ルポ パレスチナの声、イスラエルの声―憎しみの“壁”は崩せるのか
土井 敏邦
岩波書店
売り上げランキング: 573,098
両国の政治家や民間人へのインタビュー集。当然肯定的な意見もあれば、否定的な意見もある、イスラエル=悪みたいな本が多いなか、中立的な立場でインタビューしている。これも事実なんだと思う。



それでも、私は憎まない (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)
イゼルディン・アブエライシュ
亜紀書房
売り上げランキング: 289,886
パレスチナで生まれ育ち、イスラエルで医師として働く著者の自伝。理不尽な理由で家を爆撃され、目の前で子ども達を失った。描写や気持ちがリアルすぎて読むのが辛かった本。彼の場合は職があり、恵まれている方に思えるがそれでも両国間の行き来や国外へ出ることも難しい。これが本当に暮らしている人の話だと思った。それでも相手を憎まずに平和活動をすると決めるまでの話もとても興味深い


他にも色々読んだが、おすすめの4冊。

2014-11-26

これがよくある旅の風景(イスラエルからヨルダンへ)

ベツレヘム(Bethlehem)を後にして、イスラエルに戻ったその足で、イスラエルに停まることなくヨルダンに入国した。

午前中にベツレヘムを出発。来る時に到着した町中のバス停から、エルサレム(Jerusalem)行き21番のバスに乗った。行きと同じで7.3シュケル(約197円 ※1シュケル=27円)
また想像していたチェックポイントらしい場所を通ることなく、高速道路の料金所のようなところでパスポートチェックがあった。バスに乗る一部の人が降りたので、よくわからないが自分も降り、全員さらっとIDをイスラエル軍に見せてバスに乗る。10分くらいしか停車しなかったし、誰も止められたりすることがなかった。

イスラエルのバスターミナルについて、すぐヨルダンとの国境行きのバスを探した。同じターミナルからは出ていないようだったから、近くのタクシー運転手に聞いたら、「今日は休みの日だから出てない」といって、タクシーに乗らせようとしてくる。もうすぐに嘘だと分かるから、こういうのがめんどくさい。

別のターミナルに行って、近くの人に聞いたらシェアワゴンのところまで連れて行ってくれた。路地の奥にある怪しげに見えるが、ちゃんとした会社。
国境まで。42シュケル+荷物代5シュケル(約1,269円)、来たときと同じ値段だ。人数が集まり出発した。

国境に到着して、出国税178シュケル(約4,806円)を支払う。高い、高すぎる…。唯一の救いは窓口の人が日本語で「ありがとう」と言ってくれたことだ。とてもよい経験ができた滞在だったが、お金がない身としては高額出費が本当に辛い。
税を払ってしまえば、外国人であれば出国はそんなに難しい話は聞いたことがない。しかし「ノースタンプ」は言うのを忘れてはいけない。
「ノースタンプ」と言ったら「なぜ?」と笑いながら明らかにふざけた調子で返答されて、あっさり通過。

しかしここからが長かった。
すぐに人が集まればバスに乗れるものと思っていたが、人が集まっているのに、荷物すら取らせてもらえない。どういう基準で選んでいるのかわからないが、イスラエル軍の人が、少しずつ人を呼んでは外に放り出されている荷物を取りにこさせている。
パレスチナ人と思われるおばあさんは、出国が済んでいるからこそこの場にいるにも関わらず、何度も再度許可証の確認をされ、最後まで残っていた。

で、45分謎の待たされ時間があり、やっとヨルダン側に行くバスに乗れた。しかも結局あの場にいた全員が乗ることになっていた。バスが40シュケル(約1,080円)

あまりに理不尽に待たされたように感じたので、バスの中で近に座っていたアメリカ人女性と文句を言って共感してた。
そしてヨルダン側に到着し、ヨルダンの入国。ヨルダンを出国する時も「ノースタンプ」で来ているから、ここでも入国のスタンプはもらってはいけない。何も言わずとも押されなかった。
だいたい、バスに乗っていた全員のパスポートを束ねて、誰も顔も見ずに入国審査が終わってしまうのだ。イスラエルを出る時の厳しさはなんなんだと思うほどだ。

そして次はセルビス(乗り合いタクシー)でアンマンの町中に戻らないと行けない。
行きは4人で割って1人6ディナール(約840円 ※1ディナール=140円)だったから、それが適正価格だというのは分かっている。
が、しかし、どのセルビスに聞いても10ディナールだと言う。ここから町中に出るバスはもうない時間だった、それを知ってふっかけてきたのだろう。

私は考えた、3人家族の後についていけば何となくだまされなさそう、だと。子どもの前で親が嘘をつきづらいだろうということと、私が乗れば4人になるという利点。
その作戦でうまく乗り込み、私が家族に金額を確認しだすと、運転手が急に現地の言葉で親とやりとりを初めて、私だけ降ろされた。
別の車に乗せられて、人を連れてくるから待てと運転手に言われた。待っていると客を連れて来て、私がその同乗者に金額を聞いてみると10ディナールだと言う。完全に嘘をつくように仕組まれている。そして人数が増えると、私が降ろされる。それを何回かやられて、さすがに頭にきた。

それまで本当にベツレヘムで人の優しさに包まれすぎていたから余計に。

普段怒りをぶつけることは、旅中は逆に危ないからなるべくしないようにしていたが、さすがに本当にいらついて、運転手にわーわー言ってみたら、近くにもわーわー言ってる女性がいた。それがさっきのバスで一緒だったアメリカ人だ。
事情を聞いてみるとどうやっても適正価格で乗れないというので、私と同じ状況。こうなると即座にチームになれる。2人で口撃していたら、ついには警察が来た。

事情を説明すると、4人乗りで1人6ディナールが適正なんだから、それで乗せてあげろと言ってくれた。警察の後押しを得て、見事適正価格セルビスを獲得。ばーかばーかばーーかって何度も思った。
たまたま近くにいたパレスチナ出身だと言う男性が相乗りしたいというので、3人(定員が4人)で出発しちゃって、1人7ディナールでと交渉してくれた。しかもアンマンのターミナルではなくて、ホテルの前に送ってくれるという交渉まで!

よかった、戦ってよかった。
でもこれよくある旅の風景なんだって思った。いつも騙されそうになって、それを受け入れるか戦うか、選択してミスって疲弊してもそれが日常みたいなとこあったから。
そういう意味でもパレスチナでそういう戦いをしなくてよかったという点に改めて気づいたのであった。



2014-11-25

これではなくならないと思った

別の日、ベツレヘム(Bethlehem)内にあるアイダ難民キャンプ(Ayda Refugee camp)に行った。
イスラエルが入植した土地に住んでいたがために追い出されたり、攻撃された土地に住んでいて生計を失くした人が難民として移り住んでいる場所だ。インターコンチネンタルホテルの真裏にある。

だいたい3,200人もの人が住んでいる。難民キャンプというとテント村のようなものをイメージしがちだが、ここは見た目は他と変わらないような2.3階建ての建物が並んでいて、商店も学校もあった。

話を聞くために商店でコーラを買って、店に人に色々聞いていたら、屋上にあがって上から辺りをみていいよと言ってくれたので、家にお邪魔した。

屋上から見ると家の前に壁があって、壁の反対側はイスラエルのオリーブ畑だった。

屋上から見た学校の校庭。狭いけど、サッカーやったりしてた。

学校のすぐ横は分離壁だ。なぞの広場があったから、一緒にいた友達がそこでギターを弾いたり、何となく過ごす。

飲み終わったコーラの瓶を、それを買った商店に戻したら、そこにいた高校生くらいの子ども達がこぞって瓶を取り合って走ったと思ったら、壁の向こうに思いっきり投げた。
衝撃だった。壁の向こうに誰かいたらぶつかって、当たりどころ悪ければ死んでいるかもしれない。そもそもオリーブ畑と知ってて投げているのかもしれないが、相手が困るかもしれないと分かる年齢だけど、憎しみなのかふざけてなのか、それが出来るということだ。
でもこうとも思った。この行動について「だめだ、危険だ」と注意することもできないな、と。なぜなら壁の向こうに瓶を投げつけるという行為そのものは危ないと言えるのだけど、彼らの本当の気持ちは複雑すぎて私にはわからないからだ。今まで、数日だとしても、色々見てきて、何をわかったつもりになって、何を言えるのだろうか。
どんなに嫌でむかつくことがあっても、相手にも家族や友達など自分がそれを大切に思うことと同じように、大切な人がいて、大切に思われて過ごしているかもしれないと思うと、相手を本当に憎むことができないと思うときがある、でも多分それは平和な日本にいて、身近な人が理不尽に殺されたり生きていけないくらいの不幸なめにあったことがないからだとも思う。
人を殺してはいけない、傷つけてはいけない、道徳上の意味は理解できるんだけど、人が殺される、簡単に傷つけられている、というのが当たり前の現実にあったら?
相手を憎んで相手も同じ目に遭わせてやろうと思う人がいてもおかしくはないかもしれないと思ってしまったのだった。
平和というのは難しい。停戦したとしても皆が納得いく解決方法はないだろう。もはや何が始まりかはわからないが、攻撃とその報復で憎しみが積み重なっている。そしてそのことが教育される、そうなると戦争とか、争いとか、なくなるのは無理だと言えると思った。そういう諦めのようなものを自分自身の中に感じた。

この子にとって投げるのが瓶ではなく爆弾になる日がくるかもしれないし、実際にそうなっていた人もいるだろう。バンクシーの絵も最初はイスラエル側からの攻撃を意味して、爆弾の代わりに花を、だと思っていたが、両者ともに言いたかったのかなと思った。

キャンプを後にして、適当に歩いていると、キャンプ内の学校に通っている子ども達が、物珍しさからか着いて来た。最初はからかってついてきたが、友達がもっているギターが気になったのか、弾かせてあげるというと大盛り上がりだった。


平和がほど遠いと思ったものの、やはりパレスチナに住む人々の優しさは他のどの国よりも印象に残っているし、本当に色々な人が助けてくれた。彼らにもう少し楽になれる日がくればいいのにとはやはり思わずにはいられなかった。

思ったより長めにいたベツレヘム。最近のニュースをみるとイスラエルパレスチナ間の衝突がこの時より激化していて、エルサレムの町中ですら行くのが危なく感じる。

ベツレヘム滞在:2013年11月4日〜7日