2019-07-03

ブラチスラバ ウォーキングツアー

スロバキア(Slovakia)のブラチスラバ(Bratislava)で共産党の歴史をまわるフリーツアーに参加した。
申し込みなどは不要で、書かれている時間に指定の集合場所に行けばいいだけだ。
http://www.befreetours.com/tour/communism-bunker-tour/

まず最初に向かったのは、ブラチスラバ城だ。
ブラチスラバ城
建物の四隅にとんがった屋根の塔が建っているため、ひっくり返したテーブルと表現されることがあるそうだ。この日はちょうど韓国から重役がきているとかで、慌ただしく人々が動き、警備も厳重だった。
ブラチスラバ城

スロバキアは、10世紀以降ハンガリ・オーストリア帝国の支配下にあったが、第一次世界大戦後にその帝国が崩壊したのをきっかけにチェコと一緒になりチェコスロバキアとなった。しかし第二次世界大戦の時に、ドイツにチェコが支配され、スロバキアはドイツの支援を得て独立したが事実上の支配下にはあり、スロバキアのユダヤ人をドイツの強制収容所に送ったりしている。
しかしすぐにハンガリーに侵攻されて国の一部をハンガリーに割譲しており、いまだにスロバキアの人たちはハンガリーにあまりいい印象を持っていないそうだ。必ず戦争の爪痕が現代に残り続ける。日本といろんな国も然りだが。
そして世界大戦が終わり、ドイツの敗戦によりチェコ・スロバキア共和国がやっと再興したが、結局戦後の東西ヨーロッパの分断により旧ソ連の衛星国となってしまう。

という支配され続け、独立したと思ったらまた支配されるということが続いていた国なのだ。

1989年ビロード革命というのが起こり、共産党支配を倒し、民主化が始まった。この時の民主化運動では学生の非暴力の抗議行動が発端となり、そのまま犠牲者がほとんど出ることなく全国的にデモが広がり、民主化に成功したという出来事だ。
1993年にはチェコとスロバキアが平和裏に分断して、スロバキアが独立したということだ。
ハンガリーは民衆蜂起があって大きな被害があったが、スロバキアはそうではなかった、隣の国だけど、状況が全然違うということもあまり知らなかった。

このブラチスラバ城の上からは、色々なものが見える。
UFO
橋の上に設置されたUFOのようなもの。今は展望レストランになっているらしいが、旧ソ連の支配下に作られたものだそうだ。元はユダヤ人街だったところを全部壊して建てたそうな。

ちなみにこの橋のふもとにはホロコースト犠牲者の慰霊碑がある。
ホロコースト被害者慰霊碑

ブラチスラバ城から見えている景色は、ハンガリーとオーストリアだ。街自体が国境沿いにある。城の周りは川になっているのだが、ここからオーストリアに亡命しようとして泳いでいる途中に亡くなった人が多くいると言っていた。

このツアーに参加した当時の話だが、ガイドの人はスロバキアは世界で独立して2番目に新しい国なんだととても誇らしげに言っていたのが印象に残っている。
この当時の大統領は初めて共産主義と関係のない人が就任していて、これからの未来に期待があるように感じられた。今の大統領も同様で、しかも初めての女性大統領が今年誕生したそうだ。国や政治が変わっていくと感じられる世界にいるのかもしれない。

ブラチスラバ城と旧市街の間には城壁が今も少しだけ残っている。
ブラチスラバ城壁

ブラチスラバ城壁2

旧市街を出ると普通の感じで大統領官邸があるから結構驚いた。確かに柵もあるし警備もいるんだけど、大統領が住んでいると思えないくらいこじんまりとしているように見えるし、大統領が住むにはだいぶセキュリティが不安になるような場所だった。
大統領官邸

そして次はラジオ放送局。ソ連の衛星国時代は、プロパガンダ放送をずっと流していた場所だそうだ。今はそういう放送はしていないが、普通にラジオやテレビ局として機能している。それにしてもすごいバランスの建物。
ラジオ放送局

この放送局の近くにあるフリーダムスクエアと呼ばれる公園。あまりにも大きい噴水、しかし今は水が一切出ていない。これもソ連の衛星国時代に作られたもので、あまりにも大量の水を消費するから、2007年に壊れた時にもう修理はしなかったそうだ。とっても不気味に見える。これは完全に共産主義時代の負の遺産になっていると思った。
フリーダムスクエアの噴水

そしてこの公園のベンチは、人々がくつろげないようなデザインにわざとされているとガイドの人は言っていた。
フリーダムスクエアのベンチ

旧市街からフリーダムスクエアまでは結構遠く、それを全部歩いて回るためちょっとハードなツアーだった。しかしこういうところをわざわざ見に来ることは自分ではないだろうから、とても良い機会になった。


ブラチスラバ滞在:2017年10月18日〜21日
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